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駆け出し脚本家の映画レビュー

鬼のように映画を分析していきます。

【★3】タクシードライバー【陰キャの暴走】

今の言葉で言ったら陰キャの暴走、この言葉に尽きると思います。
ロバート・デ・ニーロ主演の映画です。

 



【ネタバレなしのあらすじ】
孤独で不眠症の主人公トラヴィスはタクシードライバーの仕事を始める。
その仕事中に美女に一目惚れし、映画デートをすることになる。
でもポルノ映画に誘ってしまい激怒される。
ラヴィスは怒り狂い、その感情は殺人という方向へ…。




終始すごく暗いというか、陰鬱な話です。自分は変わりたい。でも何をしたらいいのかわからない。そんな悩みを抱えた主人公の話です。いい意味でも悪い意味でも予想外の展開が多かったです。同じように自分の現状に悩みを抱えた人には刺さる部分もある映画だと思います。だからといって観た後に、「よし、おれもがんばろう!」という方向に気持ちがいくことはほぼ100%ありません。「悩んでいるのは俺だけじゃなかったのか…」そういう気持ちを抱かせてくれる映画です。小説で言ったら、太宰治の『人間失格』とか『斜陽』が好きな人は面白いと感じるはずです。そういうベクトルの話です。



以下、ネタバレありの分析。


























面白い部分も、「?」と感じた部分も両方あったので、順々に書いていきたいと思います。



○面白いと感じた部分 


①トラヴィスの怖さの表し方

別の男を好きになったから別れてほしいという内容のドラマを観て、テレビを無言で蹴り倒す・鏡に映る自分と会話しながら銃の練習をする・薬物中毒者と話す時の、謎の会話の間。トラヴィスという人間が常人じゃない精神状態にあることが怖いくらいに伝わってきます。そんなトラヴィスだからこそ、ニコニコしながら人と話しているシーンを見るだけで狂気を感じ、背筋が凍ります。


②徹底した負の感情

一目惚れした美女ともうまくいかず、それを美女のせいにして「殺してやる!」と言い放つトラヴィス。しかも現状に全く満足できないことをタクシードライバー17年目の先輩に悩みを打ち明けても「俺たちは負け組なんだよ」と言われてしまう始末。実にやるせない。でも人間、時にはこうした感情を抱いてしまうこともあるんじゃないでしょうか。同情なのか共感なのかわからない、なんとも言えない気持ちを抱かせてくれる不思議な魅力がこの映画にはあります。


③なんだかんだで最後いい感じになる

大統領の銃撃に失敗した後、12歳の娼婦を救うために単身ギャングスターたちのところへ乗り込み、銃撃戦をおこなったトラヴィスギャングスターの銃弾をくらって気を失ったものの、起きてみると少女を救った英雄としてなぜか賞賛される展開に。トラヴィス自身はそれを気にもとめずタクシードライバーの仕事を続けていたようなのですが、僕はなんだかこの展開がすごく嬉しかったんです。なぜって、「俺たちは負け組なんだよ」というタクシードライバー17年目の先輩の言葉に反して、何かやり遂げたような結末になったから。自分に対して全く期待していない人の鼻をあかしてやったみたいな、そんな感じですごくスッキリしたんです。



 ○「?」な部分


①トラヴィスがいい男風に見えてしまう

一目惚れした美女を口説くトラヴィスの姿は、自分の目にはすごくいい男風に見えてしまいました。「ボランティアをさせてくれ。君みたいに美しい人がいるからさ」「目が綺麗だね」とかどストレートに気持ちを伝えるし、キョドキョドするそぶりもなく堂々としているし。なのでそんなトラヴィスが美女を連れてポルノ映画を観に行くという行動に少し違和感を感じました。こいつはいい男なのか、なよなよなのかどっちやねん、と。まあ観てるうちになよなよの方なんだとわかっていくんで、いいっちゃいいんですけど・・・。
 

②想像の斜め上を行く急展開

「退屈な毎日がこの日を境に変わった」みたいな台詞があるんですが、その台詞の後に急に武器密売人みたいなやつに会って銃を仕入れ、筋トレを始めます。「え?!きっかけあったっけ?!どうした?!」みたいな混乱状態に陥りました。自分の理解力が乏しかったのでしょうか。ついていけませんでした。急展開すぎて面白かったけど。
あと、どうして大統領銃撃に失敗したあとに娼婦のところに行ったのか、その理由も僕には謎でした。


③急に鉄拳ヘアー

大統領の銃撃決行の日、トラヴィスは突然鉄拳ヘアーになっていました。この髪型にはいろいろと理由があるようなのですが、教養のない僕は謎の展開に吹き出してしまいました。
 




【まとめ的なもの】

 面白いっちゃ面白いです。「自分は悪くない。世界が悪い」という偏屈な考え方をしながら孤独で退屈な人生を送る男の負の感情がこれでもかと描写されています。病んでいる時に観たら余計に病んでしまいそうな気もするし、「おれと一緒だ・・・」と謎に励まされるような気もします。かと思えば突然の鉄拳ヘアーに衝撃を受けたりします。不思議な映画です。

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